海月

 所詮、私には定まったかたちなどありませぬ

 だからこうも簡単に流されても行きますし
 つかみ所などないのでございますよ

 せめていっそのこと
 そりゃァ立派できれいな
 型に私をはめてくださいまし

 ひとっところに留まったところで
 きちっと固まることなんてないんでしょうが
 その型から外したとたん、私はまた
 どろどろぶよぶよした醜いモノに戻ってしまうのでしょうが

 せめて堅牢で豪勢なその型に入ってさえいれば
 少しは見るに耐えるでしょうさ
 なにせ、その中に入ってる限りは方も含めて一応私ではございましょう?

 所詮、そんなものなのですよ――
 私なんてものには、
 結局この外枠にしか意味など無いのでございます
 中身は空じゃァありませんが
 これでは、空っぽよりもたちがわるゥございましょう?

 そのくせ、この醜いモノは
 熱くなって脹れたり、冷たくなって縮んだり
 わざと型にそぐわないように己の形を変えようと試みたり
 そんなことをして
 己を認めてもらおうと必死なのですよ

 これじゃあ、型から抜け出すために
 型を求めてるに過ぎないっていうのにねぇ……



※くらげ、と読みます。水母、も正解。ああ、この口調はきっと京極夏彦を読んだせいですね……
 ってことでクラゲとは実際にはあんま関係ない詩でした。

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