電車が来る
あの電車は止まらない
通路のいちばん右端の
いちばん深くまでもぐるエレベーターに
乗ってはいけない 乗ってはいけない
エレベーターを降りた先
地下の薄暗いプラットホームに
電車が来る 電車が来る
あの電車はこの駅には止まらない
どの駅にもとまらない
こうこうと灯りを照らして
ただレールの上を走りつづける
止まってはいけない
止まってしまっては
あのレールの上に転がる人形達を
ただの肉の塊にまで戻してやれない
それでも私はエレベーターを降りる
電車の灯りが肉の塊を照らす
飛び降りることもなくニヤリとわらう
そんな私に私は恐怖する!
――ふと目が覚める
「夢だったのか」
いいや、
ほら、プラットホームに
電車が
やって来る――
※それで、その詩の朗読会ではけっきょく自分のオリジナルの詩であるこれを読みました。黄色が実際にみた夢にほぼ忠実に、それを詩らしく加筆修正していったモノです。止まらない電車は時の不可逆性、エレベーター・電車という『乗り物』は死の受動性……と思って書いてますが……。そこ、夢判断とかやら無いように。受験生のときに見た夢はけっこう強烈です。