月を見上げて

 月を見上げて
 願うんだ

 僕を振り切る僕を
 たまらなく望んでしまう自分がいるんだ
 だから僕は
 どうしようもなく立ち上がってしまうんだ

 僕はとても中途半端だ
 だから月に向かって祈るんだ
 月明かりは優しい
 月の光は美しくて気分がいい
 自分が解き放たれてくかんじがいい
 あらゆるものがひっそり輝く
 血の匂いさえ芳香に変わる
 本能がだんだん目覚めてゆく

 でも自分の中の人間の血が
 そんな僕をセツセツと攻め立てる
 秩序を守ろうとするかわいいほどに残酷な理性が
 たまらなく僕の獣を押さえこんで
 だから僕はこの月の降りる夜にさえ目覚められない

 どちらか一方に振り切れてしまえば楽だろうに
 どちらか一方を否定できてしまえば楽だろうに
 他ならぬ僕自身がはてしなくそれを嫌がるんだ

 なんということはない
 僕は
 獣とヒトの間に生まれた半端者なのだ



※なんとなく、半妖チックなのが書きたくなりました。はまってたアニメの影響で、結構副詞で遊んでます。
 『頂き物』になんとこの詩のイラストも!!

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