それは、またある日のこと
その日とはまた、別の日のこと
多分、あれから一ヶ月くらいが過ぎてたろうか
もう一度―― 見たのだ、それを
あの、へばりついていた蜘蛛を
友人達と帰りの電車を待っていた
私だけが上りの電車を待っていた
別れの挨拶を継げて電車に乗り込んだとき――
ふと、思い出したのだ、あの、蜘蛛のことを
私は、電車の窓から『それ』を見上げた
驚いた―― ようにも思う
切なかったようにも思う
よくはわからない
蜘蛛の巣はまだ確かにそこにあった
ただそれは
前より、少し遠い位置で見ているだけなのに
妙にやたらと、小さく見えた
ただの線の塊に過ぎなかった
ただのハギレに過ぎなかった
蜘蛛らしきものもそこにはいたが
じっと動かない小さな点は
生きているのか死んでいるのか
蜘蛛であるのかそうでないのかさえもわからない
妙な―― 気分だった
前と、ほんの少しだけ視点を変えただけなのに
これが、『客観』という奴なのかも知れない
※何となく、別の機会に同じところを見上げた時に、そのことに凄く驚いたのでそれを詩にしたためてみたのです……