名も無いあなたのその存在が


 当時は塵も同然だった位の価値のあなたの命が
 その短い悲惨な生涯を終え土に還り
 その土から芽吹いたものが
 私の血となり、肉となり

 当時は紙切れ一枚よりも軽かったあなたの命が
 名も無いその生涯を歴史の1ページに刻み
 そこから知る時代なるものが
 世の中の底辺をなし、人々の生活は豊かになり

 当時は国ごときのために捨てられたあなたの命が
 争いの醜さと悲惨さを知らせる為に散り
 しかし、それが何も生みださない

 ああ、命というのは何と儚くそして貴いものなのでしょう
 だけどもわかっているのです
 そのつつましい命さえ他の命を犠牲にしてしか成り立てない事くらい

 ええ、そしてその命達さえ他の命たちを不当に扱いました
 差別さえしました
 生きてゆくため食べてゆくのとはまったく別の理由で、です
 しかし生きてゆくのと同じ位に、不当で正当な理由で、です

 けれども

 この髪の毛の一本一本、この指の先からかかとに至るまで
 そのすべて ええ、この私のこの体のこの鼓動こそが
 苦しい時代を生き抜いた人々たちのおかげで
 その人々がこの地に残してくれたもののおかげで
 私は出来上がっているのです

 ああ  私は何と罪深く
 そして祝福された存在なのでしょう



※長いタイトルで攻めてみよう・第一弾(笑)。高校時代の歌う日本史ティーチャー・T先生に感謝します。

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