陽光

 突如としてこの世界に生まれ出でて
 放り出されてしまったような感覚を
 あまりにもまぶしい水色の空の下で覚え

 何も知りえてなどいないのに
 あらゆるものを置き去りにして独り去ってゆく感覚を
 奇妙なまでに柔らかな薄茜の空の下で感じた

 世界が生まれ変わるようで
 なのに自分は生まれ変われない
 そんな、黄金色の夜明けまではまだまだ時間がある

 陽の光に照らされても
 私はどうしようもない惨めさを感じるだけ

 なのに
 陽の光に照らし出されて刻一刻と
 変化しつづける世界を見ていることも
 宵闇に包まれていることと同じくらい
 とても、心地のいいことで

 そして私はやっぱり独りでここにいる



※タイトル変遷は『陽光』→『病室』→『病床気分』→やっぱり『陽光』。場所や雰囲気を、あんまり特定したくない感じだったもんで。

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