count over

 バスを待っていた
 日はあけ始めたばかりでやたらまぶしくて
 でも風が寒くてマフラーをしめなおした
 カラスが2羽ばかり道路と電線を言ったり来たりして
 けだるそうに鳴いていた
 もちろんこんな朝はやくに待っているのはわたし1人で
 何かとんでもないぜいたくを1人占めしてしまっているような
 そんな気分にひたっていた
 たしかに睡眠不足はいなめなかったけど
 正直それ以上に興奮していたし
 眠気止めやらカイロやらお菓子やら
 何より1年間勉強してきた参考書をカバンに入れてたから
 その重さが、かえって心強かった
 試験のできはまあまあで
 自己採点で自分のうっかりっぷりに凹んでみるけど
 なかなかいいとこいってそう
 やるべきことはやり終えて……と実はまだ言い切れない
 いざ試験が終われば
 この書類やら手続きの準備やらの煩雑なこと
 勉強中はあんなに気になっていた散らかった部屋と
 その隅にたまったホコリさえなかなか片付ける気にもなれないし
 もえつきる、という言葉を
 「あぁ、こういうことか……」という実感をもってはじめて知った
 動き出したいとは思うし
 何かをしなきゃってのはわかってるのに
 いざとなると思うように行かない
 そのくせ
 趣味の本を買うためになら
 知らない道も走っていけるから、まったくどうしようもない



※'07 3/10

 戻る  トップへ  進む