opera

 幕はまだ閉じたままだ
 コンマスが立ち上がる
 耳障りな調弦
 シン、とした静寂

 コンダクタアはタクトをふる

 とろけるような管楽器の和音!
 ヴァイオリンは高鳴り
 セロは歌い
 トランペットは激しい自己主張をして
 オーボエがクラリネットがやさしくその場を包み込む
 ユーホニウムがテューバがコントラバスが
 どっしと構え
 ヴィオラは……
 ああ、やはり少々耳障り
 シンバルが高鳴る

 さあ幕は上がるぞ
 高揚感にさらに開く虹彩

 ……その天なりし楽の音の中想い馳せつること
 ……その舞台の上で演ぜられしこと
 其に何を吾は求めしか……

 それで音楽でなどないのなら  それがドラマでなどないのなら

 静寂を! 静寂を! 静寂を!



※なんか昔の文学風で堅牢、って言うかおもっ苦しいっていうか、そんな雰囲気が妙に書きたかったんですよ。それとあの、コンサートのときのとろ〜ん、ってかんじの音。ちなみにそんな管楽器詳しくないんであんま責めないでください……

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