どんなにがんばってみたって自分は自分の肉体に縛られている
それはいい、それが私のものである限りは
でもそれでも
私にはこんなめんどくさいものが毎月、あと何十年もやってくる
胸には邪魔な腫れ物が小さいとはいえ二つもついてる
ブリーチをしてソバージュをかけたって
髪の根元からはちょっと赤茶けた猫毛の直毛が生えてくるわけだし
どんなに眼をこらしても暗いところ遠くのものはよく見えない目や
簡単な音階くらいなら聞き分けられる耳や
そういうものからは私はたぶん逃れられない
それが私らしさを作っているのかといわれれば
首を縦に振らざるをえないけど
けれどでも、それ自体が私を縛り上げる鎖であることにも変わりはない
何なんだろう、この自分が自分でなくなっていくようないやな感覚!
わたしは、ここではない場所にいたかったはずなのに
こんなはずじゃあなかったのに
ホントはもっと
何か、
何かの境界線の上に立ち続けていたかった……
※ええと。小説の「hotarubi」はもう読まれましたでしょうか。あれを、っていうかあれのテーマを、もっと砕けた言葉の短い詩にしてみよう、と思い立ったのです。(ちなみに、hotarubiのテーマはまんまアイデンティティ・クライシスです)