序章(プロローグ)
汝は彼の地より来たれり
我は汝が定めなり
其は我の使者であり
是は滅を意味せり
御座いと昏きに在りて
刃夜を表せし刻
其れを朱に焼かば
へみ大いなる
時空より来たる
是の大いなりし誓約為れば
其の無からましかば
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
運命。
善い言葉だ。
犯した罪も、過ちも、総て其の一言で済ませられる。
悔しい位に『善い』言葉……
運命。
嫌な言葉!
其の言葉に振り回され己の路を断った者は一体幾人居る事か……
馬鹿馬鹿しさの余り誉めてあげたい位に『嫌な』言葉……
運命。
まあ、其れをどう判断するかは……『其の者』次第ね。
運命。
そうね、使い様によっては……
結構ステキな言葉じゃないかしら?
だって一度は謂ってみたいものよ……。
「私と貴方は『運命』故に出逢いました」
なーんて、ね。
運命。
賛同する者も居る。
否定する者も居る。
或はそうで無い者も。
だが此の言葉に関しては……皆、確固たる信念を持って行動して欲しい処だな。
私もまた『運命』を否定しようとして単に振り回されて居る者の一人だ……。
運命。
そんなものは自分で切り開きなさい。
本当に残酷なのは未来が見える事。
此の私の様に、ね……
運命。
皆が皆、様々な『想い』を其の言葉に以て物語は進み……
運命。
皆が皆、一様の『想い』を其の言葉に以て逸話は語り継がれる……
そう。
此れは、そんな。
『運命(さだめ)と謂う名の逸話(ものがたり)』
『私』?
『私』の名は……
いいえ……今は、まだ。
名乗るのは辞めておきましょうか。
だって、其の方が『愉し』そうじゃない?
より『運命的』で、ね……