028.誰かのために生きている
深い意味などないけれど。
くちずさむように、
考えてしまうときがある。
えてして人とは、愚かなるもの。
なのに、
くやしいくらい、その人に感謝している人がいる。
て、いってもボクは彼女のことをそれでもよくはしらないんだろう。
もうすこしだけ……この旅をもっと続けられたらと思う、彼女といろんな会話ができたらと思う。
いちどでいいから、彼女の故郷に行ってその師と語らってみたいという思いさえある。
いいことがそこに待ってるかといえば、ボクのことをかんがみるにその答えは否な気がするけど。
それでも、
うそをついてしまっているのかなぁ。自分の、気持ちとかいうものにたいして。
気持ちしだいなのかな、うん、やっぱり。
付いて回るこの思考を振り落とすすべを、
かんがえてみるけどわからない。
さんざん、悩んでみたけれど。
れっきとした、事実なんだよね。きっと。ボクの……君に対するこの思いは。
たんじゅんな、とても単純なこと。純粋な感謝の気持ち。
――『ありがとう』と、とにかくそういいたい。
それでもボクらは、
誰かのために生きている
やっと気づけた。ありがとう。そのことに、気づかせてくれた人。