022.不運
――ボクの連れは、目が見えない。
彼女がどういう自体でそういう事態に陥ったのかをボクは詳しくはしらない。
……なんとなく、想像はつくのだけれど。
彼女のかつての仕事はスーラの『門番』で、
あまり裕福とはいえない家庭に育ったらしいこと
魔法の属性を少なくともふたつ、
火と風の属性をもっていてそれを変幻自在に操ること
剣術に長けていて
でも、いちばん愛用している獲物は結局ダガーだということ
そんなわけで、今でも魔物や蟲やらを『狩る』ことを生業にしていること
けれど、彼女は剣や魔法についてを語るとき、すこし、さびしそうな顔をするということ、
そして、だけど
今いちばん大切で
ボクが彼女のことについて特記すべきことは
彼女は目が見えない
そのこと。
だから、彼女は『メクラ』なのだ。
大丈夫。メクラ、君は十分やっていけてるし、それは
不運
そんな事柄ではない。そんなもの、君には似合わない。