glasses

 不意に、本物の世界というものをみたくなる
 とはいっても
 昼と夜のどちらが本当の空かなんて決められないように
 これも、どちらが本物であるのかなんてわからない

 形は大きな意味を成さずに、色と音とが重要となる
 手元だけの、ひどく狭いこの世界も

 はるか遠くの文字を識別して、記号がほとんどの意味を成す
 だけれど、妙に足元のおぼつかない世界も

 どちらもそれは私にとっては真実の世界

 こんなにも異なる二つの世界が
 たった2枚のレンズの有無ですりかわってしまうのだから
 不思議なものだし
 本当に、困ったものだ

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